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日記を書きつつ、意見を書いたり語ってみたり


by poppy_h
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別れの曲

まぁ・・・これでも聞きながら読んで。


先日書いた通り、2月18日、ポピーは死んでしまいました。
12月に10歳になったばかりでした。

僕の年齢は19歳。そして彼は10歳。僕の人生の半分は彼と共にありました。
小学校3年の頃だったか、期待を胸に祖父の家へ貰い受けに行きました。
その時の彼は生後1ヶ月もしていなく、よちよち歩きで頼りなさげな顔をしていました。
まさに、ぬいぐるみのようでした。

彼をつれてきてから、我が家の雰囲気が変わりました。
家族の話は彼の話で尽きない。僕は幼いながら、弟が出来た気分でいました。

裏の山を登ったり、田んぼの尾瀬道を歩いたり、思い返すと僕の家周辺は全て散歩コースでした。
今歩いてみると何か違和感を覚えます。彼無しで散歩することなんてなかったから・・・。

ある時脱走したときも、探し見つけると愛くるしい顔で飛びついてきました。

落ち着きがない性格で、問題を多々起こしていた彼。独りのときでもいつもそばにいた彼。
うるさくて、食い意地が張っていて、おもしろくて、そして暖かかった。

そんな彼も1月後半、一気に体調を崩してしまいました。
最初は飯を食べない。医者に連れて行っても原因は分からない。
見る見るうちに痩せ、肋骨は出てきて、毛並みも悪く、顔色も悪い。
ついには、ろくに歩けなくなってしまいました。

僕が実家に帰ったときは彼は玄関ですっかりうなだれていて、一言も鳴かない。
その目は何か死期を悟ったような目をしていて、それが僕に不安を与えました。

いったん実家を離れ、また戻ってきたとき、彼はもう立ち上がらなくなっていました。
一日中顔を床につけ、せきをしていました。夜中でも彼のせきが聞こえました。
それを見ていて、あまりにも苦しそうでついつい涙を流したとき、突然彼は一言なにかしゃべった後、鼻をこちらの顔に近づけてきました。
頭をなでてやると、また顔を下げ、せきを続けました。

その2日後、朝起きてみると彼のせきは収まり、気持ちよさそうに寝息を立てています。
朝食を済ませ、彼を見に行ったとき、彼は目を見開いたまま床に倒れていました。
胸に手を当て、肺の動き、心臓の鼓動を確かめましたが、微動だにしていませんでした。

彼は死にました。

彼の顔は穏やかで、普通に眠っているようでした。

涙はでませんでした。何も変わりません。この世の中から一つ命は消えようと、世の中は動き続け、何も変わりません。
ただ、心の中に虚無感が生まれ、寂しさが押し寄せてきました。その痛みをグッとこらえつつ、僕は彼から目をそらしました。

死ってこんなにもあっけないものなんだ。
それが実感です。自分もきっとこのように死ぬと思います。
死の意識、僕は生きている。そして生きているから死は訪れる。


1ヶ月半近く彼は生き続け、死を迎えました。
彼に言いたいことは二つ、おつかれ様でした。そして・・・

ありがとう。

別れの曲_e0021494_614831.jpg
by poppy_h | 2006-02-21 23:22